世界 1.静謐で満たされた世界
わたしは何度か小さなまばたきをして、深い深い瞑想から目を覚ました。
心地よいそよ風が頬を通り過ぎる。まどろみの中で、後ろで支えていてくれた菩提樹を見上げる。
空に浮かぶ直径200メートルもない小さな島。その島の真ん中でわたしは瞑想の中に落ちていたのだ。
まわりは静謐で満たされた世界。声をあげたら、たちまち崩れてしまいそうな、完全に均等を保った空間。
わたしはこの時間が完全にとまったかのような神秘的な雰囲気の中で、背筋をしゃんとして、感謝せずにいられずに、深い安堵の息を吐くと、また思い直し深い瞑想に入ろうと目をつぶった。
すると、均等をさっと崩すようなひと吹きの風が、なにかのメッセージを伝えるように通り過ぎ、わたしは目を開けた。
まだ終わってなかったんだ。。
心が少し曇った。わたしは立ち上がり、島の端まで行き、はるか遠い空の下を眺めた。また風が吹き、島の草木はざわめいた。
わたしが決めなければいけないんだ。
島の真ん中にある菩提樹のところに戻った。この大いなる気に身を預けるととても安心できて、気持ちがいい。わたしはまたゆっくり目をつぶった。今度はそこには、小さいけれどしっかりとした意志が添えられていた。